「ディル」の効果効能 優れた鎮静・安眠作用あり
古代ノルウェー語で「なだめる」という意味の「ディラ」に由来して名付けられた「ディル」。優れた鎮静作用や安眠効果で知られています。
日本ではあまり一般的ではありませんが、欧米では非常にポピュラーなハーブで、盛んに栽培されています。

目次
ディルとは?
エピソード
紀元前4000年代にメソポタミア南部に侵入したシュメール人によって栽培され、その後バビロニア、パレスチナ、古代ギリシャやローマに広がったといわれています。
古代エジプト時代から使われているハーブで、紀元前1550年ごろの「エーベルス・パピルス」に頭痛を和らげることが書かれています。
ヨーロッパでは子どもの夜泣きにディルの種子を煎じて飲ませたり、葉茎をすりつぶして胸に塗ったりしていました。
古代ギリシャやローマ時代にディルが一種の「惚れ薬」の役割をはたしていて、恋する相手のポケットにこっそりディルの種子を入れ、自分のことを愛してくれるよう願ったといわれています。
また、北米への初期の移住者は、牧師の長い説教の間、子どもにディルの種子を噛ませていたことから、ミーティングシードと言われます。
特徴
フェンネルによく似た葉は魚料理などによく合います。
高さ40~80㎝の一、二年草で、枝はよく枝分かれし、青みを帯びた緑色の葉は柔らかく、羽状複葉で互生です。
初夏に茎の先端に黄色の小さい花を複散形花序に咲かせます。果実は楕円形でディルシードと呼び、種子として扱われます。
学名 | Anethum graveolens |
分類 | セリ科・イノンド属 |
別名 | イノンド |
原産地 | 地中海沿岸・西アジア |
使用部分 | 葉、花、茎、種子 |
効能 | 鎮痛、駆風、利尿、母乳の分泌促進、消化器官機能改善など |

ディルの効果効能
胃腸の働きを促進
ディルに含まれるカルボンには、消化液の分泌を促す効果があるため、胃もたれや腹痛など胃腸の症状を和らげる効果が期待できます。
駆風作用もあるので、お腹にたまったガスの除去にも効果的です。
リラックス効果
ディルにはリモネンという成分が含まれており、緊張感、気分の落ち込み、イライラなどを緩和するリラックス効果が期待できます。
また、穏やかな鎮静剤になるとも言われており、赤ちゃんの夜泣きや不眠症に効果が期待できます。
女性特有の症状に
ディルには母乳の分泌を促す効果があります。
また、鎮痙効果もあるため生理不順や生理痛の緩和など女性特有の症状にも効果を発揮します。
口臭予防に
ディルは胃の粘膜を守る働きが期待できるため、胃の不調が原因で起こる口臭予防にも役立ちます。
食後にハーブティーを飲用したり、そのまま種子を噛めば、消化を助ける上に口臭を消す効果が期待できます。 またしゃっくりがでるときにもディルが用いられます。
アレルギーを抑制
ディルにはフラボノイドの一種であるクェルセチンが含まれています。このクェルセチンにはアレルギー症状を引き起こす、ヒスタリンを抑える働きをするため、アレルギー症状を抑制する効果が期待できます。
生の魚介類の付けあわせにも効果的です。
生活習慣病予防・アンチエイジング効果
ディルにはオイゲノールという抗酸化作用がある成分を含んでいます。
細胞の老化を緩和し、血糖値を下げる作用があるため、生活習慣病の予防やアンチエイジング効果が期待できます。
疲労回復・美肌効果
ディルに含まれるビタミンB1には、糖を代謝しエネルギーを作り出すため、疲労回復に効果を発揮します。
また、ビタミンB2も含み新陳代謝を促進するため、疲労回復以外にも美肌効果が期待できます。

ディルの注意点
種子は胸やけや逆流性食道炎の原因になる場合があります。
種子には通経作用があるため妊娠中は避けましょう。
「ディルビネガー」の作り方
【材料】
ディルの茎つきの葉 | 5枝くらい |
酢(日本の酢でもよい) | ディルが漬かる量 |
【作り方】
- 収穫した葉は洗って、水気をふき取ります。
- 煮沸消毒した瓶などにディルを入れ、酢を注きます。(ディルが容器に入らない場合は切ってください)
- 冷蔵庫に入れ、ディルの鮮やかな緑色が抜けた頃にお使いください。

参考文献:「ハーブのすべてがわかる事典」 ジャパンハーブソサエティー著
※ここに掲載されている内容は専門書などを参考に取りまとめた情報です。植物の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。あくまでも自己責任において使用をお願いいたします。使用に不安のある方は専門家や専門医に相談することをお勧めいたします。妊娠中、授乳中、小さな子ども、持病がある方、その他心配なことがある方は注意が必要です。
