「キキョウ(桔梗)」の効能・エピソード・特徴・利用方法

日本在来種の花の一つである「キキョウ(桔梗)」。古くは戦国武将も家紋にするなど日本人に愛されてきました。

根は漢方薬(桔梗根)として、扁桃炎・咽頭炎・皮膚化膿症に用いられることで知られ、漢方以外でも龍角散や浅田飴など鎮咳・去痰の家庭薬にも配合されています。

目次

キキョウ(桔梗)とは?

エピソード

平安時代の「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」や「本草和名(ほんぞうわみょう)」に、キキョウの古名と推定される「阿佐加保(あさがほ)」「阿利乃比布岐(ありのひふき)」「乎加止止岐(おかととき)」の名が記述されています。

キキョウの名前は漢名の「桔梗(キチコウ)」を音読したもので「神農本草経」に記載されています。

根を胃腸薬や去痰薬などの薬として用いることを中国から学んだため、キキョウの名前も用いられるようになりました。

家紋としても用いられ、美濃の国の土岐氏の家紋としても有名で、明智光秀も土岐氏一族であり、桔梗紋を用いていました。江戸城には桔梗の間、桔梗門という名があり、武士に好まれていたようです。

特徴

高さ40~100㎝の多年草で直立した茎の先端近くに紙風船のような形の蕾を1~数10輪つけ、6~9月に青紫色をした花を咲かせます。

品種改良の進んだ現在では、白や赤、ピンクの花の品種も市場に出まわるようになりました。

根は太くまっすぐに伸び、小ぶりの人参のような形をしています。

かつては日当たりの良い山野に自生していましたが、現在、野生種は絶滅危惧種になっています。

学名Platycodon grandiflorus
別名桔梗、オカトトキ、 アリノヒフキ
原産地日本、朝鮮半島、中国
科名キキョウ科
気候型大陸東岸気候
生薬名桔梗根

栽培方法

日当たりの良いところから明るい半日陰で風通し良く水はけの良い場所が適しています。

種まき、株分け、挿し木で増やし、花が咲き終わったら切り戻すと、次々咲きます。

キキョウの成分・作用・効能・利用方法

成分イヌリン、ベツリン、プラチコジンA、C、D、ポリガラシンD
作用鎮咳作用、去痰作用、排膿作用、鎮静作用、鎮痛作用、鎮痛作用、解熱作用、抗炎症作用
効能気管支炎や肺炎などの呼吸器系の炎症、化膿性疾患などに有効とされる

利用方法

漢方の要薬で、咽頭炎の治療や扁桃炎・皮膚化膿症の処方に配合して用います。漢方以外にも龍角散や浅田飴などの鎮咳・去痰の家庭薬にも配合され、同様の効能のあるセネガと配合したセネガ・キキョウもよく知られています。

  • 咳や痰が出るとき、のどの痛みが激しいとき、しわがれた声になったときに桔梗根を粉末にして、1日量5~6gを分けて服用するか、刻んだもの5~8gを500mlの水で煎じ、1日3回、食間に温めて飲みます。また、「桔梗根」2gに「甘草」2gを加えて煎じると、いっそう効果的です。また、煎液でうがいをすると扁桃炎による咽頭痛を和らげます。
  • キキョウの葉や茎を折ると白乳液が出ますが、この白乳液を山で漆(ウルシ)にかぶれた時に塗布します。
  • 韓国では根を塩漬けなどにして食べます。根には有毒なサポニンが含まれますが、ゆでで水にさらせば食べられるので、日本でも重要な救荒植物として利用されていました。

副作用

血圧が上がる・むくみ・倦怠感等(偽アルドステロン症)を感じる場合があります。

痩せていて体の衰弱が著しい人は、キキョウの連用・多用は避けましょう。

持病を抱えており、他の薬を使用している人、何か心配なことがある人は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

妊娠中、授乳中の人、小さな子どもの安全性が未確立であり、注意が必要です。

参考引用文献:ハーブのすべてがわかる事典 ジャパンハーブソサエティー著

※ここに掲載されている内容は専門書などを参考に取りまとめた情報です。植物の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。あくまでも自己責任において使用をお願いいたします。使用に不安のある方は専門家や専門医に相談することをお勧めいたします。妊娠中、授乳中、小さな子ども、持病がある方、その他心配なことがある方は注意が必要です。

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